世を捨て街へ出よう

世を捨てた若者の日々の記録です。

ホームレスの良心。東京ゴッドファーザーズを見た。

以前から気になっていた「東京ゴッドファーザーズ」という映画を見ました。

2003年公開の今敏監督のオリジナルアニメ映画です。

小学生の頃にケーブルテレビで少し見て以来、頭の隅にこべり付いていました。

というのも、街並みや人情が妙にリアルなんですよね。

年末の空気感などがしんしんと伝わってきます。

 

物語は3人のホームレスがクリスマスに赤ちゃんを拾う話です。

子供を産めないオカマと、嫁子供に捨てられたおっさんと、家出して親を捨てた少女が赤ちゃんをどうするべきかとコミカルに翻弄します。

 

ホームはレスだけどハートはフルです。

一見どうしようもないおっさん達なんですが人情には厚い。

ホームレスになってもいいかなとちょっと思ってしまうような魅力があります。

しかし、現実には人情に厚いホームレスばかりでないことも、この映画では示してくれています。

 

ただ少女でバランスを取る感じがちょっとズルい。

でも自然にまとまっているし、いい表情を見せるんだこれが。

声優*1の声質もイイ。

 

テンポもよく、演技もよく、1時間半で上手くまとまっています。

ギャグかと思えるようなテンポのよさなんですけどそれさえも面白いです。

とにかくこの映画、雰囲気と温かみが好きです。

今敏監督の映画はおそらく初めて見ましたがこんないい映画を作る監督だとは思いませんでした。

見終わった後で知りましたが惜しくも現在は他界されているようです。。

ぜひオススメ。

 

 

余談ですが、

僕は社会不適合者寄りの人間です。

学歴も資格も根性も能力も金もないです。

実家があるからなんとか齧りついて生きています。

実家がなければどうなっているのか。そしてこれから先どうしていくのか。

 

故にホームレスの境地も絵空事ではなく、現実的な可能性としてあります。

なので邪なことをよく考えます。

このまま底辺を這いつくばって生きるなら何かやらかして死のうだとか。

 

つまりなにが言いたいかというと、死んでもいいやと考えている人間には最高刑である死刑さえ意味はありません。

失う物がない人間に法律は無意味です。

死んでもいいしどうなってもいいと考えている人間は、好きなアイドルや通行人を付け回して襲ってレ●プして捕まっても痒くもないわけです。

そういう立場がホームレスですよ。

 

でも彼らのそう言った犯罪は聞かないし、少なくとも世間を騒がせないレベルに留まっている。

捕まって刑務所に入ったほうが食事風呂屋根付きで環境いいんですよ?

更に言えばホームレスなんかにならず、生活保護を受けることもできたと思いますよ。

その選択もしなかった。

そこには少なからず自尊心や良心があるのでは?とたまに考えます。

*1:岡本綾という女優だそうで現在は引退